日本バラッド協会第12回(2021)会合のご案内

開催日:2021年3月27日(土) 
方 法:(1) HP掲載によるオンデマンド発表 (2) zoomを使ってのオンライン発表の併用の形で開催

(1) オンデマンド発表への参加方法:
3月26日(金)より4月1日(木)までの1週間を発表原稿の掲載期間とし、協会HP「情報広場」に掲載します。各発表への質問等は掲載期間内に協会事務局メールアドレスこのメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。へお送りください。事務局より発表者に伝え、発表者からの回答・コメントを事務局より質問者に転送します。

研究発表1 桝井幹生 「キプリングのバラッド詩32篇総括」

研究発表2 林 邦彦 「求婚先での拘束とその後 ― フェロー語バラッド『コンスタンティノープルのハラルドシェルドゥル』を中心に ―」
  
(2) オンライン発表への参加方法:
zoomへのURLを3月に入って、全員にメールにてお送りします。
*途中電波の乱れなど不足の事態が起こりましても時間延長はせずに、送信できなかった発表等は、後日に協会HP情報広場に、会合の報告として概要を掲載することで替える予定です。

<プログラム> *今後に変更もありますので、最新情報にご留意ください。
総合司会 島崎寛子
12:50 ミーティングルーム入室開始
13:00 開会 
13:05 事務局報告 中島久代
13:15 研究発表 1 Felicity Greenland  “Routes to Music: From There to Here—an autoethnography”
13:45 質疑応答
(14:00 ブレイク)
14:15 研究発表 2 佐藤貴美子 「書簡でたどる『スコットランド国境地方バラッド集』」
14:45 質疑応答
(15:00 ブレイク)
15:15 ライブ(または映像送信) [企画中]
16:00 閉会(予定)

<オンデマンド 研究発表1 概要>
「キプリングのバラッド詩32篇総括」  桝井 幹生
1. キプリングの略年譜:「英国バラッド詩アーカイブ」所収32篇のバラッド執筆の背景を中心に略年譜を作った。同時にキプリングの生涯に関する基本的な知識が得られるように配慮した。
2. 32篇のバラッド詩解説:32篇のバラッド詩の初出順の解説を試みた。約10年におよぶ検討用試訳の訳業と決定訳の作成作業の思い出を懐かしく振り返ることもできた。
3. キプリング語録:キプリングの膨大な韻文や散文から、興味深く印象に残った言葉を拾ってみた。中には挑発的と思われる言葉や、キプリングの主張するところと相互に矛盾する言葉が見られるが、それらは、詩・文中のコンテキストでは「真実」である。

<オンデマンド 研究発表2 概要>
 「求婚先での拘束とその後 ― フェロー語バラッド『コンスタンティノープルのハラルドシェルドゥル』を中心に ―」  林邦彦

デンマーク自治領のフェロー諸島で多数伝承されているフェロー語のバラッド作品群の中に、「男性が他国の権力者の娘との結婚を望み、求婚に出向くも、現地で捕らわれの身になる。求婚相手(権力者の娘)が父(権力者)に求婚者の解放を嘆願するも認められず、求婚者の兄弟が現地へ救援に駆けつける」という要素を含む作品が複数見受けられる。アーサー王伝説等に題材を取ったバラッド・サイクル『ヘリントの息子ウィヴィント』を構成するサブ・バラッドの一つである『クヴィチルスプラング』や、このバラッド・サイクルとは別に、物語の前半部分に『クヴィチルスプラング』の物語との類似が見られる『美丈夫フィンヌル』と呼ばれる作品などがその一例である。この『美丈夫フィンヌル』の前半部分と『クヴィチルスプラング』の物語の類似性は先行研究でもしばしば指摘されているが、本発表では、これら二作品との物語の類似や影響関係についてはほとんど指摘されていない『コンスタンティノープルのハラルドシェルドゥル』と呼ばれるフェロー語バラッド作品を取り上げ、『クヴィチルスプラング』、『美丈夫フィンヌル』両作品と内容上の比較を行い、『コンスタンティノープルのハラルドシェルドゥル』の位置づけや物語の由来をめぐる考察の足掛かりとすることを目指したい。

<オンライン 研究発表1 概要>
“Routes to Music: From There to Here—an autoethnography” Felicity Greenland

“Routes to Music” is the working title of my ongoing research into the musical 'roots, routes and crossroads' of individuals for whom music is an important part of life—of course this project is infinite since almost everyone is a potential subject! This presentation takes my own musical journey as one case study, tracing the musical life-path of an ordinary British person now living in Japan. Focusing on song, I reflect upon social, educational, political and cultural influences on repertoire, skills and attitudes, and outline various participation and performance environments encountered in everyday life in UK, Japan and on other travels. I describe applications and receptions of song in the work of a language teacher and community music participant/facilitator, and explain past and current song-related research projects including one on Japanese whale-fishing min'yō as a means to cross-cultural understanding. Like most ballad singers and folk singers, I am not formally trained in music or singing, yet I can map out my life by means of songs. I hope that this presentation will be of cross-cultural interest and motivate others to reflect upon their influences and share their stories.

<オンライン 研究発表 2 概要>
「書簡でたどる『スコットランド国境地方バラッド集』」 佐藤貴美子

『オックスフォードバラッド集』(The Oxford Book of Ballads, 1969)を編集したジェームズ・キンズリー(James Kinsley, 1922-1984)は、序論で同書のバラッド選択の基準を述べた後「したがってパーシー卿(Thomas Percy, 1729-1811)やサー・ウォルター・スコット(Walter Scott, 1771-1832)、ピーター・バカン(Peter Buchan, 1790-1854)が編んだものはなるべく除外した。彼らの編集したバラッドは『修復』が施され練り上げられたものだ」と記した。この見方は間違いではないが、バラッド詩の流れをまったく斟酌しておらずスコットらの功績を看過している。
 スコットは『スコットランド国境地方バラッド集』(Minstrelsy of the Scottish Border, 1802-03)に晩年まで手を加え続けた。今回の発表では、友人知人への書簡から見えてくる彼のバラッド編集の考え方やその変化を辿る。視覚的資料もできるだけ取り入れ時代背景も紹介できればと考えている。今年はスコットの生誕250年にあたる。今まであまり取り上げられてこなかったスコットのバラッド詩への功績を再確認したい。