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歌ってみよう、バラッドとミニライブのレポート  石嶺麻紀_(2017/5)

[日本バラッド協会第9回会合(東京工芸大学中野キャンパス 2017/03/18)]

 バラッド。それは物語歌。ある時代までは、歌と言う形の口承伝承で命をつないできたもの。19世紀頃からテキスト化、楽譜化されるまでは、研究対象物でもなかったであろうし、民衆の生活と共に多様に姿形を変えながらしっかと根を張って生きてきたのでしょう。
 日本バラッド協会の会合で、テキストから離れた、それも体感型の全員参加企画をやりたいと思っていたところだったので、昨年の運営委員会で、バラッドをみんなで歌ってみる、という企画を提案し、やってみましょうということになりました。
 「歌ってみよう、バラッド」のコーナーの指揮を引き受け、まず、曲決め。”Ennery My Son”にしよう、と割と早く決めたものの、色々と案じていました。テキストとしては簡単すぎるほど簡単な歌。だって、子供のバラッドですから。でも皆さんで歌うとなるとどうなるかな?声出してくれるかな?男女一緒に歌うわけで、キーはどこにしようかな?楽器で旋律のガイドをしたほうがいいかな?簡単すぎてつまらないかな?などなど…。
 でも、案ずるより産むが易しだったかなぁ、と思いました。「では、まず、私が歌ってみますね」と言って歌い出すと、1スタンザを過ぎたあたりから、ポツリポツリと会場から歌声が聞こえ始め、スタンザが進むごとに歌声は膨らんでいきました。リズムの微妙な違いも難なくクリア!おお!大丈夫じゃん!と、気持ちのよい感触を得て、私も楽しくなっていきました。問答歌だし、物語展開も面白い歌なので、最後はもう少し表情豊かに笑顔で歌えたらより素敵だったかなぁ、と欲張りなことを思いましたが、それには、歌詞の事前配布とか、下準備があったほうがよかったのかもしれません。でも、次回のこの企画では、もう少し難易度が上がっても大丈夫だということがわかってよかったです。皆さん、また一緒にバラッドを歌いましょう。そして、バラッドの生の姿を感じるという意味で、皆さんのテキスト研究の広がりのきっかけになったりしたらいいなぁと思っています。
 続いて自分のライブに入りました。「歌ってみよう、バラッド」コーナーで、声を張り上げて喉に負担をかけてしまい、少々声が枯れてしまったのは、だいぶ悔しかったです。マイクの調節も正直だめでした。そういった細かなことが気になって、自分が歌に入りきれていない感じがありました。いけませんね。う〜ん、いろいろ悔いは残ります。ギタリストの周さんとの練習ももっとしたかったなぁ。と、ライブについては自分としては何だか反省点しか見つからないのですが、終わって、ある方から、良かったですと言って頂けたのはとても嬉しかったですし、懇親会の席で、バラッドを歌うときの心理についての話で盛り上がったり、他にもいくつか歌い手として考えさせられるコミュニケーションができたことは、私にとって大いに収穫になりました。またいつか、歌わせてもらえる時がきたら、今回よりももっともっと私のバラッドをお聴かせできるような、そんな歌い手になっていたいなぁと思っています。頑張らなくては!