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日本バラッド協会第17回(2026)会合プログラム
日本バラッド協会第17回(2026)会合プログラム
2026年3月28日(土)
東京農業大学 世田谷キャンパス 1号館 211教室
総合司会 佐藤貴美子
12:00 教室開場
13:00-13:10 開催校挨拶 鎌田明子
事務局報告 中島久代
伝承バラッド挿絵の展示について 陣内敦
13:10-14:10 講演 野網摩利子 「眠れぬ墓 バラッドを読む漱石」
14:10-14:25 質疑応答
14:25-14:40 ティーブレイク
14:40-15:10 研究発表 滝口智子 「クリスティナ・ロセッティのバラッド詩における危険な対話」
15:10-15:20 質疑応答
15: 20-15:40 研究報告 宮原牧子 「歴史を伝えるボシー・バラッド」
15:40-15:50 研究紹介 鎌田明子 「18-20世紀バラッド詩におけるモチーフと地域的関連性に関する基盤資料の作成と提供」
15:50-16:00 研究報告と紹介の質疑応答
16:00-16:15 ティーブレイク
16 :15-17:00 リュート演奏 横山沙由子 「ブロードサイド・民謡・シェイクスピアのバラッド」
17:00 閉会
18:00-20:30 懇親会 イタリア料理 コンタディーノ
<講演 概要> 野網摩利子 「眠れぬ墓 バラッドを読む漱石」
バラッド集を多種蔵書する漱石の関心はどのように形成されたのか。通常、翻訳を手掛けない漱石が英訳から『オシアン』詩歌を部分訳したのはなぜか。これらは『詩神の呼び声 バラッドを読む漱石へ』で提起された問題である。この問題を解きながら、同書で潜在的に扱っていた問題を顕在化させる。それは漱石文学における「墓」の表現である。バラッドに拾われる民衆の声は生きている者ばかりからではない。「墓」から生の世界に戻ってきた亡霊の声はバラッドに蔓延している。漱石文学では死者の言動は描かれないが、「墓」は丹念に描かれる。バラッドや『オシアン』から学ばれたのであろう。
漱石にとって『吾輩は猫である』とともに小説の第一作といえる『倫敦塔』は王族や宗教者が処刑・暗殺される場所として描かれている。そこでの倫敦塔は生の最後の場所である。その後の小説では「墓」が描かれるようになる。「墓」に向かう登場人物がいる。漱石小説を、死者の生前の様子を書き入れた墓碑銘として見ることができるのではないか。「墓」にいる死者は眠れない。
<研究発表 概要> 滝口智子 「クリスティナ・ロセッティのバラッド詩における危険な対話」
クリスティナ・ロセッティは伝承バラッドに準じた形式・内容の詩を多く残しています。バラッドは彼女の創作の大きな源泉のひとつでした。伝承バラッドの特質として、登場人物たちの対立や断絶を露にする「対話」があげられます。ロセッティも対話形式を用いて、登場人物たちの危険な関係を描きました。対話の相手は人間に限らず、異形の幽霊や妖精の場合もあります。傑作長編詩「ゴブリン・マーケット(小鬼の市)」には、妖精と出会い死の果物に惹かれる姉妹が登場します。ほかにも、残酷な姉の仕業で恋人を失う妹、花嫁を黄泉の国に連れ去る幽霊、互いに嘆願し血を流す神と人間の会話等、ロセッティのバラッド詩には不思議な世界が広がっています。その世界の一端を逍遥し、生死を分ける対話のからくりを探ります。
<研究報告 概要> 宮原牧子 「歴史を伝えるボシー・バラッド」
19世紀、Aberdeenshireを中心とするスコットランド北東部の農場期間労働者たちの間でうたわれていたバラッドを ‘bothy ballad’という。ボシーとは石造りの小屋を意味し、当時は未婚の男性労働者たちの住まいとして用いられていた。ボシー・バラッドの蒐集と紹介はこれまで様々な形でなされてきたが、中でも面白いのはDavid Kerr Cameron(1928-2003)によるものであろう。幼少期に過ごした農場での経験を元に彼が著したThe Ballad and the Plough (1978)とThe Cornkister Days (1984)の中には、およそ百編のボシー・バラッドが詳しい解説とともに紹介されており、この二冊の本はなんとも活き活きとしたボシー・バラッドのアンソロジーとなっている。本発表ではキャメロンのアンソロジーの特徴がよく表れているボシー・バラッドと彼の解説の一端を紹介したい。
<リュート演奏 概要> 横山沙由子「ブロードサイド・民謡・シェイクスピアのバラッド」
札幌で行われた会合に初めて参加し、皆さまのBalladに対する熱意と、暖かい雰囲気に大変感動いたしました。3月に演奏できますこと、嬉しく思います。少しでも盛り上げることができましたら幸いです。
以下のプログラムを想定しておりますが、時間等の関係で大幅に変更するかもしれません。
– Broadside Ballad から –
Fair maid of Islington / Daphne
– 民謡としてのBalladから –
There were three ravens
– シェイクスピアの舞台に登場するBalladから –
Willow song / Walsingham
横山 沙由子
東京都出身。イギリスのリュートソングを専門に、リュート弾き語り奏者として活動している。
渡英し、声楽の指導をエマ・カークビー氏、エヴリン・タブ氏より、リュートの指導を竹内太郎氏より受ける。
バラッドの出会いは大学の授業で見た映画「Songcatcher」(もしかしたら違うかもしれない) の中に出てきた曲 “Barbara Allen”。自分の好きな音楽はこれだ!と思いつつ、同時期にリュートソングに出会い没頭する。リュートのソロ曲には当時の流行歌のメロディがよく使われており、その面からも今も人々によって歌い継がれたり、残されている歌に大変心惹かれている。