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Jean Ritchie (1922- ) のこと   桝井幹生 (2007/12/16)

 今年85歳になるジーン・リッチーの姿と音楽に接したのは1978年、彼女が56歳のときである。その年の10月25日、酒蔵を改造した「拾得」という京都のライブハウスでのことだった。演奏会は夕方7時から始まった。ステージの上には何丁かのマウンテン・ダルシマーをはじめギター、オートハープなどの楽器が整然と置かれていた。やがてミッシ、ミッシと木製の階段をきしませながらジーンが降りてきた。ゆったりしたドレスに身を包んだ偉丈夫(?)であった。 一旦声を出すとフォークウエイズのLPでおなじみの可愛いソプラノであった。(チャイルド・バラッドばかり収録した2枚のLP)
 その日彼女は京都大学でマチネーもやってきたのだった。当時私は京都で定期的なバラッドの会を主宰していて、その仲間の1人から、Amazing Grace/J.Ritchie Live at Kyoto Univ.なるカセットをもらった。30年も前のカセットが無事残っていたのである。それをCDRに焼き付けた。39トラック、約79分である。トラック は聴衆の拍手を手がかりにナレーションと歌で区切った。
 なじみの歌は数曲である。例えば、Come, all ye Young and Tender MaidenはこのCDの冒頭を飾る逸品で、トラッド独特の小節を効かせた唱法が心増い。チャイルドナンバーはトラック8のLord Thomas and Fair Ellender (#73)一曲だけである。大家族に囲まれた幼年時代の語りを交えてのリサイタルはThe Ritchie Family of KentuckyというFolkwaysのアルバムFA 2316と同じ趣向である。
 途中に京都在住のフォーク歌手古川豪さんの日本のバラッド「ラッパ節」が入る。名づけてトランペット・ブルースというのは受けた。トラック23。最後は聴衆のリクエストに応えてAmazing Graceを歌った。よくやるように、早口で次の歌詞を教えるのだが、唱和する人が少なかったのは、そのような経験が無いためであろう。予め歌詞をプリントして配布しておけばもっとにぎやかな合唱になったことであろう。なおJean Ritchieを入力すると、かなりの動画がYou Tubeでダウンロードできる。
 最後に手元にあるJean RitchieのDiscographyをあげておく。(本文中に上げたものは省く)
Jean Ritchie clear waters remembered Geordie 101
 これは当日会場で求めたLPでJeanのサイン入りの記念盤である。
Marching Across the Green Grass and other American Children Game Songs Folkways (FC-7702),1966.
None But One London: Sire Records (SRK6025), 1977.
Precious Memories Folkways (FA-2427), 1962.
Sweet Rivers (JA 037)
Saturday Night and Sunday Too Riverside (RLP 12-620)

以上のようなレコードを聴けばこのライブの曲目もあらかた分かるかもしれないが、今のところ空白にしておこう。
 ジーンに触発されてマウンテン・ダルシマーを二丁も買ったが、結局物にならず今は納戸で眠っている。