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Pentangle追っかけの旅  丸田信一

① 旅のきっかけ
 イギリスへはいつか行けたらいいな?と夢見る日々を過ごしつつ、毎日音楽を聴く日々。イギリス旅行が夢から現実に変わろうとは夢にも思わなかった。数年前に行ったニューオリーンズ・ジャズ・フェスティバル。その時の体験が忘れられず、どうしてもまた海外へ行きたいと思っていた。仕事上、長期休暇は取ることも出来ず、いや、たった1日の有給休暇すらとる事も容易ではない職種から逃げ出すように会社を辞め、去年は海外旅行中心の生活を過ごして来た。 そんなある日、一緒に行った友人からペンタングルがオリジナルメンバーで一時的に再結成してツアーすると聞いたのは、2月か3月ぐらいだったでしょうか。 しかも彼らのアルバム『スウィート・チャイルド』録音40周年記念のライブツアーだとの事。『スウィート・チャイルド』は1968年6月29日にイギリス のロイヤル・フェスティバル・ホールでのコンサートがライブ録音され作成された。今回はその丁度40年後に同じロイヤル・フェスティバル・ホールで行うとの事。あいにく既に旅行日程は決まっていて、オランダ・ベルギーの旅だけが決まっていて、その日のコンサートは見る事は出来ない。本当ならばイギリスはトランジットのみの乗り換えだけで利用する予定だったが、後半のツアー日程を見るとイギリス滞在を延ばせばなんとか他の日は見る事が出来そう。約1万 5000円を支払いトランジットの延長手続きをし、英国ペンタングル追っかけツアーを計画した。結果的にはペンタングル4公演、マーティン・シンプソン1 公演、帰りのベルギーでルー・リードの1公演。その他英国各地を観光し、結果、大変満足の行くものになった。
② 旅の思い出
【宿泊先】
 宿泊先はスイスコテージというカムデン地区近くの地下鉄駅から程近く。ホテルではなく日本人が経営し、日本人の女性またはカップルにのみ貸し出している一般のアパート。共同部屋もあるが、その時はカップル扱いの個室にしてもらう。普通のアパートなので隣人は地元に住んでいる人が普通に生活をして いる。自分達が泊まった部屋は1LDKみたいなアパート。家電は全てそろっている。料理をするのも自由。宿泊最終日にベッドのシーツ、部屋の掃除、ゴミ出 しを行い、部屋の鍵を部屋に置いて退出する。経営スタッフとは最初に鍵をもらう時しか会わず、あとは宿泊者を全て信頼し任せる方式。これは日本人にしか出来ない運営方法だとの事。外国人に貸し出すと間違いなく家電製品、備品などを持ち去られるそうです。
【天候】
 着いた当日より雨、雨、雨、気温も低い。翌日、翌々日も雨が降ったりやんだり。そんななかイギリスの人は傘もささずに歩いている人も多い。格好もウィットスーツみたいなものも多く、夕方にはコート、マフラーなどを着ている人も多かった。自分はTシャツしか持って行ってなかったのですが、寒さには強いので、なんともなく。いつだったか忘れましたが、友人とちょっと離れて1人待っている時に、1人のお婆さんに声をかけられました。Tシャツを指さされ、寒くないの?と。咄嗟の出来事に、思わずJapanese OK.と言ってしまいました。きっとそのお婆さんは日本人って皆寒さに強いと思っている事でしょう。日本人の皆様ごめんなさい。
【移動手段】
 基本的には徒歩、地下鉄、電車、あとは少しだけバス。どうしようもない場合はタクシー。地下鉄は日本の地下鉄と比べると小さくてこじんまりして いてあまり綺麗ではない印象。通路も狭く、スーツケースを持っての移動だったら、相当不便だっただろう。地下鉄は日本の関東でのパスモみたいな補充式カー ド:オイスターカードというものを使用。その他の電車はブリットレイルパスというもので、10日間どこへでも乗り放題というのを使用。オイスターカードは 最初補充の仕方が解らず機械の前で戸惑って居た所、日本人の女性が補充の仕方を教えてくれた。さすがにロンドン周辺は日本人が多いと実感。イギリスでは電車料金はとても高いらしいので、結果的にはこのパスを買った事で、旅費がだいぶ抑えられたようです。
【コンサート】
Pentangle
コンサートの内容はLyceum Theatreを中心にお話させて戴く。
(1) 2008年7月7日・ロンドン・Lyceum Theatre
 初めて見るペンタングルコンサート。会場はロンドンから地下鉄のCharingCross駅で下車10分程。迷うことなく会場に到着。到着するとそこはライオンキング上映のチラシやポスターが会場全体に貼られている。本当にここでコンサートをやるのか不安が過ぎる。しかし、よく見るとそのでっかいポスターの上にPentangle ConcertのA4ぐらいのチラシが貼り付けられている。会場に入るやツアーグッズ売り場が気になる。Tシャツやマグカップ、もちろんツアーパンフレッドなども購入。で、肝心のコンサート。客電が落ち「Ladies and gentlemen, please welcome PENTANGLE」とアナウンサーの紹介で、メンバーが登場。冒頭の「The Time Has Come」のジャッキー・マクシーの歌声を聴いただけで、既に目頭が熱くなる。過去の歌声も素晴らしいが、今現在の年齢を重ねて声質もどこかしら枯れた感じの歌の方が、フォーク・トラディショナルソングを歌うのにはぴったりな感じがした。セットリストは後述するが、名曲「Cruel Sister」を最後にファーストステージは終了。約10くらいの休憩を挟み、セカンドステージが始まる。数曲過ぎて念願の「Bruton Town」が演奏された。この曲大好きなんですよね。2度目のウルウル。目頭が熱い。ステージはシンプルな衝立みたいなものが背後にあって、時々ライティ ングで色が変わるというシンプルなもの。シンプルなだけに、余計に演奏にごまかしが効かない。ダニー・トンプソンの重厚なウッドベースにテリー・コックス のジャズ的なドラミングをバックに、左のジョン・レンボーンは自由奔放にギターを演奏し、右のバート・ヤンシュはギターや時に歌に、どこかしらぎこちない 演奏は彼らしい。そして中央のジャッキー・マクシーの歌声とその立ち姿は、どこかどっしりと貫禄があり、オリジナルメンバーの演奏をバックに伸び伸びと 歌っている。1曲1曲に感動していると、コンサートというものはあっという間に過ぎるもの。気がつけば、アンコール。これも念願の「Wille O’winsbury」をやってくれました。うーん。これは一番感動したかも。感動のコンサートも終了し、サイン会があるかと予想していたが、その日は無 く、サイン欲しさに出待ちを決行。おそらく地元の人達約10人ぐらいと共に裏口に待機する。出待ちする事約2時間ぐらいでしょうか。ジョン・レンボーン以外のサインをゲット。(ジョン・レンボーンはこの日は現れず、サインは後日ゲット)。また憧れのバート・ヤンシュとの2ショット写真を撮ってもらった。昔の頃に比べれば太ってしまったが、写真で見るよりだいぶイケていると思うのは、憧れの眼差しで見ているからだろうか?一生の思い出になりました。
 以降、コンサートの模様はLyceum Theatreとほぼ同様なので省略する。
(2) 2008年7月9日・マンチェスター・Palace Theatre
 この日はマンチェスターのレコード屋街をウロウロし、ある1軒でPentangleのベスト盤レコードを購入。この日から毎回サイン会が実施さ れたが、当日はそのレコードにサインを貰う。一昨日出待ちしていた日本人2人は印象的だったか、顔は覚えられている模様。ちょっぴり嬉しい。
(3) 2008年7月10日・ハロゲート・International Centre
 スカーバラ近くの保養地Harrogate。観客もお年寄りが多く、立派な会場の割りに観客もまばら。空席も目立つ。ただ、振り返ってみると、 この会場の音が一番良かった印象。各パートの音がくっきりと分離良く聴こえ、音の広がりも素晴らしい。日本でのコンサートも含め、こういう良い音でコン サートを楽しめる所はめったに無いと思った。ライブ後のサイン会はもう恒例になった感じ。ジャッキー・マクシーは僕達を見ると手を振ってくれたりする。
(4) 2008年7月13日・グラスゴー・Royal Concert Hall
 やって来ましたグラスゴー。ロンドンから電車で移動。東京から福岡まで電車で行くようなものでしょうか。ホテルにチェックイン後会場を探すが道に迷う。走りに走って開演数分前に到着。自分達にとっての最終公演。間に合って良かった。コンサートは4回見ているにも関わらず、終始感動。これで見納めだと思うと余計に感動してしまう。コンサート後は恒例のサイン会、「また来たの~」みたいな感じで少々呆れられていた感じもしたり。毎回グッズを買ってい たので、売り場のお兄さんに気に入られ、この日はバート・ヤンシュの奥さんに紹介されたり、マグカップやらTシャツなどをただでもらう。「あ、それもう 買ったんですけど。。。」でもありがたく戴く。

【セットリスト】
( )はChild № 太字はアルバム「スウィート・チャイルド」収録
◎曲目
Part 1
1. The Time Has Come
2. Light Flight
3. Mirage
4. Hunting Song
5. Once I Had A Sweetheart
6. Market Song
7. In Time
8. People On The High Way
9. House Carpenter (243)
10. Cruel Sister

Part 2
1. Let No Man Steal Your Thyme
2. No Love Is Sorrow
3. Bruton Town
4. A Maid That’s Deep In Love
5. I’ve Got A Feeling
6. The Snows
7. Good Bye Pork Pie Hat
8. No More My Lord
9. Sally Free And Easy
10. Wedding Dress
11. Pentangling

Encores
1. Wille O’winsbury (100)
2. Will The Circle Be Unbroken?