information情報広場

連載エッセイ “We shall overcome” (24)

レッツDuolingo!   佐藤貴美子 2021-06-23

 Duolingoは全世界に5億人の登録者がいる言語学習アプリである。私も登録者の一人で、英語、スペイン語、ラテン語、ゲール語を学び、連続学習日数は900日を超え、Duoが認定する数々の実績を持つヘビーユーザーだ。これほど続けているDuoの魅力はアップデートされ続ける使いやすさ、飽きさせない工夫もさることながら、他のユーザーとの関わりにあるのではないかと思う。
 その一つがフォローしたりされたりできる点である。フォローでよくあるのはランキングで同グループになった人を選ぶことだろう。ランキング上位の人はその時点でアクティブなユーザーなので彼らの積極的な姿勢は刺激になる。だが難点はどの言語の学習者なのかランキングに表示されないことだ。私は同じ言語を学ぶ人を目標にしたいので、タスク中に表示される“Discuss” の場で発言している何人かをフォローしている(そのため私がフォローするのはDaibhidhとかMaireadのようにニックネームをゲール語にしている人ばかりである)。これらの人は友達として登録され、直接やり取りはできないがDuoからの「xxさんが100日を越えました」や「△△さんが1日で10レッスンを終えました」と言う連絡に「おめでとう!」「拍手!」をクリックすると、それが相手に伝わるという仕組みがある。つい先日、ラテン語をコンプリートした際にフォロワー数人から「おめでとう!」の連絡があった。世界各地から届くそんなメッセージがとても嬉しい。自分の小さな功績、やろうとしていることを誰かに少しだけ認めてほしい、そんな思いをDuoが介在し届けてくれる。スマホに向かうだけの学習者にとってDuoのこのシステムは温かみがあり励みになる。
 ランキングで同グループの人たちは仲間というよりゲームを戦うプレイヤー同士のような存在だろう。毎週のランキングは月曜日の日本時間9時15分に新たに始まる。30人一組でランクを競い、上位10人が上部リーグへ進み下位5人が降格する。先に「数々の実績を持つ」と記したが、私にはまだ手に入れていない称号がある。ランキング1位の称号がそれで、最近手に入れたいと思うようになってきた。私の考える1位獲得に向けてのコツは、まず意識高い系のグループに入らないこと。9時15分以降にゲーム(?)を開始したプレイヤーは順次30人ずつ組まれる。従って連続日数が途切れないギリギリの時間帯に参加し、獲得ポイントにあまり積極的でない30人に入るようにする(少しフェアでない気もするが)。だが同じように考える人が少なからずいて、ギリギリ時間帯のグループでも1位2位あたりのポイント獲得競争は激化するのが常である。
 Duoは新しい単語や文法などすべてワンセンテンス―ワンスクリーンの積み重ねで学んでいく。翻訳してタイプアップしたり選択肢からワンセンテンスを作成したりしてクリアする実践型で文法の記述は多くない。自分の理解が正しいのか心もとない場合もあり、そんなときに頼るのが前述した “Discuss” ボタンだ。ここは討論の場となっており、間違えた理由がわからないときはここを開き、ほかの人も同じ箇所でつまずいていることに安堵したりその間違いを正す人の解説に納得したりする。何より、同じ言語を学ぶ人たちが活発に意見を交わす場にいることの共同体意識、安心感がいい。
 以上のように従来の独学言語学習アプリに、オンラインゲームのように競いつつSNSのような即時性や社会とのつながりが融合されているのがDuolingoであり、コロナ禍との親和性は高いのではないか。多少の広告さえ我慢すれば無料で楽しく言語を学び世界とつながることができる。皆さんもこの機会にぜひいかがでしょうか。