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日本バラッド協会第14回(2023)会合

開催日:2023年3月25日(土) 
開催方法:zoomによるオンライン発表とパフォーマンス映像配信の形で開催

講演  山中光義 「バラッド詩とは?」(詳細は同名の研究ノート参照)
リレー・トーク(トーク3以外の詳細は同名の研究ノート参照)
トーク1 山中光義 「言葉の抽象化―Thomas Tickell, “Lucy and Colin” (1725)」
トーク2 鎌田明子 「主体を表現するバラッド-John Keats, “Ah! ken ye what I met the day” (1818)」
トーク3 三木菜緒美「バラッド文化の芸術表現―John Masefield と Jack B. Yeats」
 (概要)John Masefield (1878-1967) の最初期の詩集 Salt-Water Ballads (1902) に収められたバラッド詩 “Sea-Fever” や、続く詩集Ballads(1903) 内の “Cargoes” は、商船の乗組員としての経験をもつこの詩人が、海洋バラッド詩の名手であることを印象付ける。これらの詩集で、メイスフィールドは水夫の言葉を使い、海上で暮らす船乗りの生活を歌い上げている。彼はまた、シー・シャンティーも含め、海や船乗りに関する詩を集め、アンソロジーA Sailor’s Garland (1906) を編纂した。これらの海洋バラッドやシー・シャンティーは、アイルランドの画家であるJack B. Yeats (1871-1957) が製作していた月間ブロードサイドA Broad Sheet (1902-03) や A Broadside (1906-1915) に材料を提供し、バラッド文化の芸術表現へと発展させた。
トーク4 宮原牧子 「深化するバラッド詩―Alfred Noyesの場合」
トーク5 中島久代 「“A Shropshire Lad”(1935)に見るバラッド詩人John Betjeman」

研究発表 喜多野 裕子 「バラッドから謡への変容ー『アッシャーズ・ウェルの女』と原一郎による『閼沙井』:母を/が 求める墓からの帰還者たち」
概要:
 原一郎は「バラッドと謡曲―その主題と結構(比較文学的考察の試み)―」(1970) において、謡曲とバラッドの比較考察を主に形式や主題の類似性を軸として試みている。しかしその論が学術研究としてその後さらに深化及び発展されることは、これまでほとんどなかったように思われる。原自身、単なる類似では論をなさないと認めているがこの論文には「バラッドのもつ謡曲性を伝える」(223)ために「アッシャーズ・ウェルの女」の「謡曲調試訳」(223)として「閼沙井」が記載されている。一つの試みとして、謡へのアダプテーションを自ら行っている点は評価されるべきである。おそらく伝承バラッドが謡の形式を模倣して発表されたのはこの試訳のみであろう。本発表では「アッシャーズ・ウェルの女」と同様に、息子を亡くした母の嘆きと亡霊の息子との別れを謡う謡曲『隅田川』との比較を “corporeal revenant” を中心に試みたい。さらにバラッドが時代や国を超えて再利用・再生産されてゆく特性を踏まえ、高安流能楽師 有松遼一氏のご協力のもと、「閼沙井」の一部に謡の節をつけて音声により披露することを予定している。 有松遼一公式ウェブサイト  https://arimatsu-noh.com/

<パフォーマンス映像配信 案内>
バラッドを歌う greyish glow 2022-23
演奏 greyish glow (グレイッシュ・グロウ)
Vocal : Misuzu Kanno
Vocal : Sino Morita
Guitar : Sou Kanno
演奏曲
John Barleycorn (Traffic ver.)
Scarborough Fair
The blacksmith
My Johnny was a shoemaker (a cappella)
Silver Whistle (a cappella)
Four Loom Weaver (a cappella)
All things are quite silent
Old Miner
 greyish glowはブリティッシュ・トラッド(と私たちは呼んでいます)を主に演奏するグループ。現在はボーカル2人、ギター1人の3人で札幌を中心に演奏活動をしています。結成から20年を過ぎました。
 「バラッドを歌う」は2010年と2011年に札幌の渡辺淳一文学館で開かれたコンサートの表題で、バラッド協会に出会ったきっかけでもあります。
 今回の動画は2022年の夏から2023年の2月にかけて録画した演奏を編集したものです。「バラッドを歌う」の表題通り、伝承物語を語り歌っています。

https://www.youtube.com/watch?v=Wx9wI0r74vc&t=1222s